2015年4月22日水曜日

兵庫県の国指定がん診療連携拠点病院の肺がんの手術件数

近畿がん政策サミット2015 がん対策市民フォーラム「がん対策のこれから」 埴岡 健一氏の発表より、兵庫県の国指定がん診療連携拠点病院の医療について、抜粋して掲載します。

 
 左の図は、肺がんの手術件数です。

 肺がんの手術は、開胸手術(側胸部を20cm程度切り開き、手術を行う)が一般的ですが、早期の肺がんでは胸腔鏡(内視鏡の一種)を使った手術が行われています。
 胸腔鏡を使った手術は、開胸手術よりも出血が少なく術後の痛みも軽いことから、患者の回復が早いというメリットがあります。

 図より、「姫路医療センター」が多くの胸腔鏡手術をしていることがわかります。

「神戸医療センター」「姫路赤十字病院」「赤穂市民病院」は、肺がんの手術をまったくしていないことがわかります。

「豊岡病院」では、胸腔鏡手術を行っていないことがわかります。

 肺がん手術については、(肺がん手術、「胸腔鏡」主流に 患者の負担を軽減 日経実力病院調査、日本経済新聞を参照しました)  http://www.nikkei.com/article/DGXDZO50669420W3A110C1NNSP01/

兵庫県の国指定がん診療連携拠点病院のがん治療の専門医について

近畿がん政策サミット2015 がん対策市民フォーラム「がん対策のこれから」 埴岡 健一氏の発表より、兵庫県の国指定がん診療連携拠点病院の医療について、抜粋して掲載します。


左の図は、各病院にがん治療の専門医が何人いるかを示しています。
専門医が多くいる病院が、よい病院であると推測できます。

「県立がんセンター」「神戸大学」「神戸市中央市民病院」は、がん治療認定医・がん薬物療法専門医・放射線治療専門医の3つの専門家がそろっています。

「市立西脇病院」は、人数は少ないですが、3つの専門家がそろっています。

「姫路赤十字病院」「関西労災病院」「兵庫医大」「近畿中央病院」「豊岡病院」は、がん治療認定医・放射線治療専門医はいますが、がん薬物療法専門医が居ません。

「神戸医療センター」「県立淡路医療センター」「県立柏原病院」は、がん治療認定医しか居ません。
「姫路医療センター」「赤穂市民病院」は、放射線治療専門医しか居ません。

2015年4月15日水曜日

近畿がん政策サミット2015 ふりかえり

2015年3月22日(日)に、近畿がんサミットが神戸市勤労会館にて開催された。
東京大学公共政策大学院医療政策・教育研究ユニット 特任教授 の埴岡健一先生に基調講演をして頂いた。がん対策市民フォーラム「がん対策のこれから」「近畿地区がん対策の現状と 地域でがん対策を継続的に高め合っていくために」 という演題であった。その後、各府県がん対策推進責任者、及び各府県がん患者団体連帯組織代表から「がん対策推進計画の現状と課題」(“がん検診の質と受診率の向上対策”と“他府県に紹介したいがん対策”を含む)について報告し合い、近畿圏域の交流を図った。

このサミットでのまとめとして、①がん患者の就労支援をどうするか? ②がんの早期発見のための「がん検診」の受診率アップをどのように行うか? ③各府県のがん対策の好事例を共有しよう という提案があった。
各項目を簡単にまとめる。
  がん患者の就労支援をどうするか?
・各治療医師が、がん患者さんに「治療が始まってもすぐ仕事を辞める必要ない」と説明することが大切であると強調された。
・緩和ケアと同じように、就労支援もニーズの掘り起こしが大切!
・埴岡さんからの情報提供として、東京都はがん患者の就労支援を行った優良企業情報を公表し、表彰した。会社名はウェブに公表されている。このような取り組みも大事ではないだろうか?
・がん拠点病院の中で、ハローワークとの情報共有が大切である。がんになっても働ける企業の一覧リストを患者から要求されている。相談支援センターの強化が必要である。
・京都では「企業に出向いて、がん教育をしている」。京都府からの企業教育を受けた会社は、健康づくりとして認証し、ホームページに掲載される。これが会社のモチベーションになる。こういう好事例もある。


  がんの早期発見のための「がん検診」の受診率アップをどのように行うか? 
・コール・リコールは、何らかの形ですべての府県でやっている。
・兵庫:がん検診受信者名簿の整備が大切。年齢上限の設定が必要ではないか。集団検診以外で、個人ががん検診を受信した時に、情報を取り上げて統計に反映することが難しい。
・大阪:重点勧奨対象を設定している。がん検診受診対象者にクーポンを配布したが、年齢制限でクーポンをもらえなかった人から逆差別ではないかとの抗議があった?
・奈良:平成25年度からコール・リコールを、モデル的に先行する町で行っている。年齢のターゲット等、効果的な方法を今後検討したい。

・各府県から以上の報告があった。コール・リコールの戦略を立てるためのデータを取るのが難しいが、ゴールデンルールはないのか?今後、普遍的なルールが見つかれば多くの都市が恩恵を受けるので、好事例を詳細に検討する必要がある。


    各府県のがん対策の好事例を共有しよう
・患者さんにとって効果がある政策が必要である。個々の政策を、患者さんのメリットにどのようにつなげていけるのか?このようなことを考える必要がある。
・未来の患者に向かっての施策と、その施策が今の患者さんに対してメリットがあるかの乖離に不安を覚えている。
・タバコの禁煙が、がん対策の基本である。目標設定が大切であるが、政治や商売が絡んでいるので実施が難しい現状がある。
・医療従事者への緩和ケアの研修を受けさせることよりも、患者さんへの簡単なスクリーニングの相談を行うアプローチで、患者さんの状態が良くなる事例が報告された。
・種々の施策のうちどれを採用するかについて、吟味して効果判定する必要がある。
・できるだけ早く、患者さんに効果が届く施策を見つける必要がある。


以上が、本サミットで得られた成果であった。