2015年3月22日日曜日

近畿がん政策サミット2015  共通課題1.がん検診の質と受診率の向上対策

2015年3月22日に神戸で開催された、近畿がん政策サミット2015 にて近畿2府4県からいただいた「共通課題1」を公開します。
《滋賀県》
<がん検診受診率の向上>について:目標値を受診率50%。市町における精密検査受診率は各がん検診100%としている。<課題>*受診率は国民生活基礎調査で把握。県が管理をするのは主に市町のがん検診なので、取組の対象と結果を評価する対象が異なる。職場検診や人間ドック等検診全体を網羅するモニタリング方法。又、職場検診に行政指導の仕組みが作れないものか。*がん検診の議論が推進計画と遂行の場が異なる為、突合の不便さが生じる。来年度はがん対策推進協議会に部会を設置。医療者、検診機関、当事者目線が必要ではないか。
*無料検診の成果の有無はあったのか。
<がん検診の質>について:エビデンスに基づいた検診を実施。<課題>*乳がん検診の対象(40歳以上)が現罹患年齢に沿っているか。対象年齢拡大は難しいとしても、39歳未満の県民の早期発見の為の啓発が必要。*肺がん検診は検診内容の議論があり全県下で行われていなかった。検診の質は大きな問題だが、そこを解決せず、自県だけ検診を行わないのは問題。今後はこのようなことがないよう望む。現在は、検診医の読影力向上の為の講習会開催。検診機器整備の補助金交付等、精度向上と受診率向上に努力。現在実施市町は17/19。受診率も向上。全国値に追いつくことを期待。*特定健診とがん検診が縦割りにならないよう、同時実施等受けやすい実施方法の広がりを望む。
<普及方法>:「がんと向き合う週間」で県啓発イベントを開催。42団体が協力。<提案>早期発見と発見が遅れた体験の比較。検診費、治療費、がん保険費の費用比較等、工夫が必要。又、保育、介護付き検診。ワンストップ検診。がん検診世代が集まる場(PTA等)での検診啓発等、一歩踏み込んだ試みが必要。受診率が高い他府県の好事例に学ぶべき。<対策>:来年度市町の個別勧奨・再勧奨事業に補助金新設。


《京都府》
京都府が独自に実施しているインターネット調査をみると、本府のがん検診受診率は、概ね26~38%と低迷状態が続いています。この調査では、未受診の理由も聞いていますが、主な未受診理由として「面倒であるから」「費用がかかるから」「検診日と日程があわなかったから」などが挙げられ、受診環境の改善とともに、検診の重要性を十分に理解していただくことの重要性が示唆されています。
そこで京都府では、がん検診受診率の向上対策として、『100万人がん検診推進運動事業』 という啓発活動を展開しています。市町村や保健所はもちろん、府内の事業所や医療機関、NPO等の団体に協力いただき、府内各所へのポスター掲示やリーフレットの配架、ショッピングセンターや京都サンガの試合、学祭等での声かけ運動、新聞やラジオ等のメディアを通じた広報など、オール京都での啓発活動を実施しています。
特に、乳がん検診啓発では、ピンクリボン京都と連携し、京都タワー・京都府庁などのライトアップ、スタンプラリーなどを継続的に実施してきており、市町村の乳がん検診受診率は、全国平均を上回るようになりました。
平成25年度からは、子宮頸がん検診啓発を進めていくため、「ステキ女子のからだメンテプロジェクト」を立ち上げ、百貨店やアパレルメーカー、大学などの応援団体と協力し、ポスターや啓発グッズの作成、女性タレントを招いてのイベント実施など、20~30代女性に向けた情報発信を重点的に行っています。
他にも、受診環境の向上として、休日に5がんの検診を同日実施する市町村に検診費用を補助する市町村休日総合がん検診支援事業や、居住する市町村に関わらず乳がん個別検診が受診できる体制の検討等を進めています。また、検診の質の向上に向けて、市町村検診について、厚生労働省の推奨するチェックリストに基づく検診事業評価を推進しているところです。
がん患者団体としては、リレーフォーライフやピンクリボン運動などでの啓発活動に協力しています。

《大阪府》
第二期大阪府がん対策推進計画
■精度の均てん化:国の指針に基づく推奨されたがん検診が、いずれの市町村においても一定以上の精度(質)で実施されるよう評価・分析を行い、市町村や検診機関への助言を行う。
■受診率の向上:市町村に対し、重点を置くべき受診対象者の把握と科学的根拠の認められた効果的な受診勧奨の促進について働きかける。
■がん検診の普及・啓発:府民、市町村がん検診担当者や検診機関に対し、正しい知識の普及・啓発活動を行う。
主な施策
○精度管理センター事業
府内市町村及び検診機関のがん検診精度を高めるとともに、市町村における検診受診勧奨方法等を検証し、検診受診率向上を目指すことを目的に平成24年度から大阪府保健医療財団へ事業を委託し、様々な市町村支援を実施している。
○がん検診重点受診勧奨対象者の設定
・市町村において対象者すべてに個別受診勧奨を行うのが難しい現状に対し、がんの罹患率や国保加入者層等の分析から、エビデンスに基づいて重点的に勧奨すべき年齢層を設定し、個別受診勧奨実施を働きかける。対象者【胃・大腸・肺がん:60~69歳、子宮頸がん:25~44歳、乳がん:50~69歳】
・精度管理センターにおける重点受診勧奨対象者への勧奨ツールの作成支援
・精度管理センターによる受診勧奨実施状況の調査
○大阪府がん対策基金を活用したがん検診普及・啓発への取り組み
【46件 2034万9986円  (平成26年7月29日現在)】
企画提案型公募によるがん対策貢献事業として、NPO法人がんと共に生きる会、NPO法人ピンクリボン大阪の2団体のがん検診普及・啓発事業が採択された。(平成25年度)
○精検受診率が許容値を下回った市町村へ通知文を発出
24年度の各種がん検診の精密検査受診率が許容値を下回った市町村に対し、精検受診勧奨及び事後指導の徹底を要請する文書を発出する。


《兵庫県》
A【市町対策】:①重点市町(検診推奨がん全種の検診率が県平均以下)を指定、市町に指定後2ケ年の受診率向上計画の策定を要請、検診率向上の取組を促すと共に、健康福祉事務所が進捗状況をフォローする。②受診率向上施策に熱心かつ高評価の市町に対し、国民健康保険特別調整交付金を重点的に配分する。③「がん対策推進委員」の配置促進。
B【患者団体との協働活動】:①がん検診受診啓発活動(教育)にがん患者団体より「派遣講師リスト」を提示。②学校で「がん検診と命の大切さについて」の教育を行い、生徒を介して家庭への啓発を行う。
C【企業・職域との連携】:①企業との間で「がん検診等受診率向上推進協定」を締結、検診の促進を図る。(13団体:27年2月現在)②「健康づくりチャレンジ企業」に登録する中小企業に、女性重点がん(乳がん、子宮頚がん等)について検診費用の一部を助成。(11社204人:26年現在)