2015年9月14日月曜日

2015年9月「がん医療市民講座」講演抄録、『がんになっても安心して働くことができる兵庫県をめざして』、その2

がん就労支援講演会報告-2

このブログでは、(2)「仕事とお金のお悩み相談会~専門家チームで支えたい~」
      講師  兵庫医科大学病院相談支援センター 西村裕美子氏の内容を記録します。

 何ができる?「働くことのサポートって」
 がん治療の進歩によって治療法の幅が拡大し、外来通院しながら治療を受けるといった、治療期の長期化がみられます。そういった中で、院内のみでは解決が不可能な経済的・社会的な支援に直面し、社会資源の提供に限界を感じていました。仕事と収入とは一体のものではないのか、対人関係において自分以外の他者へがんに罹患したことをどのようにどう伝えるべきなのか、経済的な問題と社会的問題は切っても切り離せないものではないかと考えはじめ、就労支援体制の充実を図る取り組みを始めました。
 がんになっても安心して働き暮らせるしくみや、ハローワークと連携した就労相談支援モデル事業などを参考に兵庫医科大学病院内で「実現可能な就労支援」の相談会を考えました。
また、がん専門相談員としてCSR就労支援スキルアップ研修や「就労リング」ファシリテーター養成講座2014を受講することでスキルアップを図り自己研鑽に努めました。


「がん治療生活を支える相談会」の強み
兵庫医科大学病院の就労支援の強みは、がんライフアドバイザー(ファイナンシャルプランナー;FP)、社会保険労務士、がん相談員(がん看護専門看護師)が、専門家チームとしてご相談を受けることです互いに補完関係を結びながら、気がかりや困りごとなど。
3つの場面を話します
(1)  治療しながら働くには
(2)  働くことが困難になったら
(3)  働く環境をどうしたらいいか

(1)治療しながら働くには・・・「治療をしながら仕事を続けたい」
『自分の治療費だけは自分で働いて稼ぐつもりで仕事を続けたい。続けながら治療はできる?』
『職場の理解があって調整させてもらえそうなんです。調理関係の仕事なので、副作用が心配で…』
『営業の仕事なので周りにばれないように、かつらのことも考えないとね』

どんなスタイルで働くことが良いか一緒に考えましょう!  
就労支援①
・就労と治療のスケジュールの見通し
・副作用の対策を一緒にしていきましょう
・倦怠感や疲労が強い際には、今の仕事内容が続けられるように職場にどのように伝えるか具体的に話し合いましょう

(2)働くことが困難になったら・・・「もう仕事は続けることができない」
 直ぐに辞めないでこれまで働くことで社会に貢献されてきました。使える制度はないか一緒に考えてみましょう
就労支援②
・辞めないで継続していくことを支えたい
・就業規則の内容はどうなっているか確認しましょう
* 退職せず社会保障制度受給
* 傷病手当金や障害年金の申請は…
* 既に老年年金をもらっている場合どうしたらよいか考えましょう
・休職/病気休暇をとった場合使える制度は何か
・人事・総務課との交渉や伝え方のアドバイス
・自営業の場合サポートしてくれる人や内容は何か、どうなっているのか一緒に確認しましょう

(3)働く環境をどうしたらいいか・・・「仕事をどうしたらいいですか」
復職の大変さはとてもよくわかります。誰にどのように話していくか一緒に考えましょう
就労支援③
・就業規則の内容はどうなっているか確認しましょう
ホームページや人事・総務などで確認

・どのタイミングで、誰に(人事・労務関係者・産業医など)どのように話すか具体的に話し合い、伝え方のアドバイスをする。
・仕事における復職後の自分の能力について知ってもらう
がんの治療を行っている期間の休暇や勤務日、勤務時間など仕事ができる限度や許容を話し合う機会をつくりましょう

2年で35名を支援してきた。
20%カラ25%が就労の支援ができた。

がん相談センターに相談してください。

気がかりや困りごとの「整理」をしながら、使える制度を確認し合う中で「一緒にみつける」ことをしてみませんか? 是非、兵庫県内のがん診療連携拠点病院にあるがん相談支援センターに相談してください。