2015年3月22日日曜日

近畿がん政策サミット2015  共通課題2 他府県に紹介したいがん対策

2015年3月22日に神戸で開催された、近畿がん政策サミット2015 にて近畿2府4県からいただいた「共通課題2」を公開します。
《滋賀県》
<紹介したいがん対策>
「がん議連」(平成22年12月)「滋賀県がん対策推進条例」の制定(平成25年12月)「滋賀県健康医療福祉部健康医療課がん・疾病対策室」創設(平成26年4月)「がん対策基金」の創設 1億円(平成26年5月)
 <特記すべき点>
*第2期推進計画の目標を達成度で評価する
*各部会の事業にPDCAサイクル指標を用いる
*要望しなくても行政、医療者が患者側の意見を求める姿勢がある・診療支援部会(患者委員0人)からがん情報サイト開設にあたり、意見を求められる
*部会、委員会等多数に患者委員が参画している
*がん対策推進協議会の副会長
<課題>
・がん患者の為の「がん対策」であるということを忘れないでほしい・患者視点が医療者全員に広がってほしい・満足度を図る事業にはがん患者を参画させてほしい
<他府県に伝えたいこと>がん患者側として意見集約の窓口一本化が有効

《京都府》
1点目は、平成25年度から開始した「生命(いのち)のがん教育推進プロジェクト事業」です。
この事業は、医療従事者とがん経験者の2名が、教育機関・企業に出向き、がんの病態や予防・早期発見・治療に関する授業を行う事業です。

平成25年度は10月から開始し、20校で実施。今年度については、68校と3倍以上に実施校が増え、来年度についても是非実施してほしいという声が多く、定着しつつあると手応えを感じています。
 2点目は、京都府で設置するがん総合相談支援センターについて、ご紹介します。がん診療連携拠点病院の相談支援センターでは対応が難しい、医療従事者とのコミュニケーションに係る問題や就労・生活費等の問題、不安などの精神的な問題に対応するため、当センターを設置し、幅広い相談に応じています。
併せて、患者・家族に必要な情報の収集・提供に取り組んでいます。
がん患者の視点から
1.タバコ対策
防煙教育:京都市教委、京都市、京都府医師会、NPOが協力して、年間約90校の小・中・高等学校で体験型防煙授業を実施しています。禁煙治療:禁煙したい人を支援するために、禁煙治療に保険が使える医療機関数が広島並になるように目標数を定めました。また、がん拠点病院等でがんの最大の原因である喫煙に対する治療ができるよう、がん拠点病院等の禁煙治療実施率の目標値を平成26年度中に100%としました。
2.がんサロン・ピアサポーター養成講座
私たちは、2009年7月よりがん拠点病院等の協力のもと、京都府下で毎年世話人養成講座を開講してきました。2013年3月に京都府がん対策推進計画が策定され、「患者サロン等の担い手養成研修修了者」の目標値200人が設定されたことを受けて、2013年度より「がんサロン・ピアサポーター養成講座」と名称を変更して開催しています。

《奈良県》
 奈良県では、第2期奈良県がん対策推進計画において、「がんにならない、がんになっても安心できる奈良県」を基本理念に、新たな分野別施策において、「がん患者の就労を含めた社会的な問題」「がんの教育・普及啓発」に関し対策を講じることとしています。 
 働く世代のがん患者・経験者数は、年々増加しており、がん患者の治療と就労の両立は大きな課題となっています。
 そこで、平成25年度に、県内の医療機関で入院、通院されているがん患者さんを対象に「ならのがんに関する患者意識調査」を行うとともに、県内の企業を対象に毎年実施している「職場環境調査」に、「がん患者を含めた長期療養者に対する制度等」の項目を追加し、『就労を含めた社会的問題』について実態把握を行いました。また、産業保健スタッフを対象に研修会を開催し、がん相談支援センターの相談員にも参加してもらい、参加者どうしの交流を深めました。
 平成26年度は産業保健研修会の継続と、新規に産業医を対象とした研修会も開催しました。さらに就労相談を始めるにあたり、社会保険労務士を対象にがんの理解を深めるための研修会を開催し、研修受講者に研修修了書を授与しました。1月には、研修を終了した社会保険労務士による就労相談を都道府県がん診療拠点病院で実施しました。
 平成26年度は産業保健研修会の継続と、新規に産業医を対象とした研修会も開催しました。さらに就労相談を始めるにあたり、社会保険労務士を対象にがんの理解を深めるための研修会を開催し、研修受講者に研修修了書を授与しました。1月には、研修を終了した社会保険労務士による就労相談を都道府県がん診療拠点病院で実施しました。

《大阪府》
がん患者の就労に関するNPO法人大阪がんええナビ制作委員会、NPO法人がんと共に生きる会の活動
【背景】厚労省研究班の報告によれば、がんに罹患した勤労者のうち30%が依願退職し、4%が解雇されている。就労可能ながん患者・経験者さえも、復職、継続就労、新規就労することが困難な場合があると想定され、国内各地の自治体や医療施設では、相談できる適切な場の整備が始められている。
 しかしながら、がん患者側の就労支援に対するニーズの表出を考えたとき、取り組むべき課題、必要とされる連携・協働体制については、具体的な取り組み方法の模索が続いている実情がある。
【活動内容】このような背景を鑑み、がん患者の就労問題に関与する多職種による『就労支援意見交換会』を開催することとした。
まず、2014年6月7日に第1回(主催NPO法人がんと共に生きる会、共催NPO法人大阪がんええナビ制作委員会 参加64名)を開催したが、概論や現場の実情を問うに止まり、参加者より、各論や実践に向けた提案など、さらに掘り下げた意見交換を求めるお声を多く頂いた。このため、?就労支援における課題と克服?必要な連携体制、をテーマに議論を深めることを目的とし、2014年12月6日 第2回『がん患者就労支援意見交換会』を開催した。第1回の結果を踏まえ、グループ・ディスカッションによる議論と発表という形をとった。
 第2回『がん患者就労支援意見交換会』には、医師10名、看護師4名、相談員12名、産業保健師6名、社労士4名、企業2名、メディア2名、患者関係者12名の計52名、文字通り多職種の方々が集結し、グループごとに様々な議論と発表が行われ、克服すべき課題や連携に向けた具体的な取り組み案を参加者全員で共有することが出来た。

《兵庫県》
A【がん診療連携拠点病院の整備】:①国指定14病院(各圏域に1カ所以上)、県指定10病院。②がん相談支援センターとの連携、がん患者団体間でピア・サポート体制を整備。
B【長期療養者の就業支援】県立がんセンターがハローワークなどと連携し、職業の相談・紹介等をモデル事業として行っている。26年4~12月 37件(内 就職件数 2件)
C【肝炎治療提供体制の充実】①専門医療機関:38施設、協力医療機関:23施設、②「肝炎治療医療費助成申請診断書を記載する医師」の登録医:420人(肝疾患診療連携拠点病院が県各地で行う年4回の医師向けの研修会受講などが条件)
③肝炎ウイルス検診の個別勧奨実施市町数と検診数 (個別勧奨制度:23年開始)

    22年 23年 24年 25年 26年 27年 備考
実施市町数 0 16 19 33 37 40 41市町中
検診数  30,618 40,802 55,231 65,279 ( )    健康増進法

D【たばこ条例の制定】教育、医療・福祉、公共施設は原則禁煙、その他は用途や規模に応じて、禁煙または分煙とし、受動喫煙に対する意識改革と規制促進を図る。25年4月より施行。